両側卵管切除術はすべきですか?

むにさん(31歳)   ■治療ステージ:顕微授精   ■妊活期間:23年  ■AMH3.01 

■治療状況

1)左右の卵巣にチョコレート嚢胞、左右卵管閉塞のため、2年前に両側卵管形成術を行い、体外受精をスタート。これまで採卵は12回実施。採卵数は510個程度、そのうち8割は受精するが、23日目のフラグメントが酷く3日目以降分割が止まり胚盤胞凍結がなかなかできません。これまで12回の採卵で胚盤胞凍結できたのは、5日目 胚盤胞凍結が3個、6日目胚盤胞凍結が1個です。

2)移植は7回。自然周期やホルモン補充周期にて新鮮胚移植、凍結胚移植を実施。凍結初期胚移植や凍結胚盤胞移植、二段階移植等を実施するもどれも着床すら至りませんでした。

3)この度、6月に採卵を実施し顕微授精(IMSI・ピエゾ)2日目初期胚、6日目胚盤胞の2つを凍結。二段階移植に向けて子宮鏡検査、卵管造影検査、TRIO検査を予定。

4)子宮鏡検査では慢性子宮内膜炎は多少の発赤は認めるものの異常なし。卵管造影検査にて右側卵管に卵管水腫、左側卵管は閉塞していることが判りました。医師からはTRIO検査実施前に両側の卵管切除術を提案されており、思わぬ検査結果であっただけにとても動揺し、もう自然妊娠は全く望めなくなるという現実に、卵管切除術を行うべきなのかとても悩んでいます。

≪質問①≫2年前に両側卵管形成術を実施し、毎年1回子宮鏡、卵管造影検査を実施しています。昨年8月時点では右側卵管閉塞、左側卵管狭窄という結果でした。元々、右側の卵巣と卵管の癒着が酷いことは指摘されていて、病状の進行度を見ながら高刺激法での採卵を続けてきたのですが、卵管形成術を実施してもなお、およそ1年の間に卵管が閉塞し、卵管水腫ができるまで症状が進行してしまうのはあることなのでしょうか?もし、今後卵管水腫を除去せず温存したまま胚移植をした場合、やはり妊娠率は低下し、子宮外妊娠の確率が上がってしまうため、両側卵管切除術を実施した方が良いのでしょうか?卵巣と卵管の癒着が認められている中、卵管切除術を実施すると卵巣に少なからずダメージを与えることとなり、今後も採卵を予定しているため卵が採りにくくなってしまうのではないかとても心配しております。

≪質問②≫これまでの経過から低刺激法、高刺激法を実施しても卵子はまだ獲得できているものの、卵子の質はとても良いとは言えません。卵巣、卵管癒着が多少なりとも卵巣に何らかの悪影響を及ぼし、卵子の質に影響しているのかについても教えていただきたいです。

 

松本 玲央奈 先生 聖マリアンナ医科大学卒業。東京大学産婦人科学教室、長野県立こども病院総合周産期センターなどを経て、東京大学大学院医学研究科で着床外来に就きながら着床の基礎研究に従事。2018年より現職。男性外来や漢方外来も併設し、オーダーメイドの治療を実践。2015年不妊分野において権威あるヨーロッパ生殖医学会で着床に関する論文でAward受賞。
※この動画は23年に撮影されたものであり、先生のご意見はその当時のご意見となります。
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